飼っているチンチラが歯ぎしりをしだして、なにか体の不調があるのではないか、と心配になったことはありませんか。
チンチラが歯ぎしりをする理由はその時々の状況によりますが、大きな病気につながる場合もあります。今回はチンチラがどのような時に歯ぎしりをするのか、そして大きな病気につながる歯ぎしりの原因やその予防方法についてお話します。
歯ぎしりの種類について
まず、チンチラがどのような状況で歯ぎしりをするか、3つのパターンを説明します。
リラックスしている
一つ目は、リラックスしている場合です。例えば、ラクトバイトというペースト状の栄養補助食品やドライフルーツなどのベタついたものを食べた後に、歯や歯茎を綺麗にするために歯ぎしりをすることがあります。
またチンチラの歯は、生まれてから伸びつづける「常生歯」というものです。そのため食後に上手く歯ぎしりをすることで、歯の伸びすぎを防ぐことができます。このようにリラックスしている場合の歯ぎしりは、カチカチと軽い音がし、特に心配する必要はないでしょう。
警戒している
二つ目は、警戒している場合です。チンチラは、とても臆病でストレスに弱い生き物です。中でも音に敏感で、小さな音でも継続的に続いていると、チンチラにとってはとてもストレスになります。これは、チンチラが野生では常に気を張っていないと食べられてしまう小動物であるからです。
警戒している場合、ガリガリと少し重たい音がします。この音が聞こえたら、チンチラに多少なりともストレスがかかっている証拠なので、生活環境などを見直してあげましょう。
不正咬合
三つ目は、不正咬合という病気にかかっている場合です。不正咬合とは、歯が伸びすぎてしまい噛み合わせが悪くなる病気です。噛み合わせが悪くなると、歯が口の粘膜を傷つけてしまい、その痛みから食欲不振に陥ってしまいます。
その結果、低栄養状態や腎不全などになってしまうのです。歯並びが悪い状態の歯ぎしりは、ゴリゴリと嫌な音がします。またチンチラはとてもポジティブな動物で、かつ負の状態を隠す習性があります。つまり体調が悪くても自分で「このくらい大丈夫」と思い込んだり、そもそも体調が悪いサインをなかなか出してくれません。なので普段からよく観察し、チンチラからのサインを見逃さないようにしましょう。
不正咬合が疑われる歯ぎしりをしていた場合について
次に、チンチラが不正咬合を疑う歯ぎしりをしていた場合、どのようになるのかを説明します。まず不正咬合の兆候が、3つあります。初めに食が細くなり、体重が減ります。次に硬いものを拒否し、柔らかいものばかりを食べるようになります。
そして最後に、口がしっかり締まらなくなり下あごの毛がよだれで濡れてきてしまいます。下あごの毛が濡れてくる状態にまでなると、取り返しがつかなくなってしまう場合が多いです。なるべく早く異常を察知してあげましょう。また、チンチラを診ることができる獣医さんは多くありません。
そのため、いざ病気になった時にすぐに診てもらうことが困難です。なので、チンチラをお迎えする前に探しておいたほうが良いでしょう。見つからない場合は、ウサギを診ることができる獣医さんのところに連れて行ってあげるとよいです。前歯が不正咬合になってしまった場合、伸びすぎた部分をカットします。
ただ、これは定期的に行わなくてはなりません。また奥歯の場合、麻酔をかけないといけないのでチンチラにかかる負担が大きくなってしまいます。
不正咬合になる原因、そして予防するためには
チンチラが不正咬合になってしまう原因は何なのでしょう。その原因の一つとして、与えるエサの問題があります。前にもお話したとおり、チンチラの歯は生まれてからずっと伸びつづけます。歯の伸びすぎを防ぐために必要なことは、しっかりと規則正しく牧草を食べることです。
え、それだけ??と思うかもしれませんが、歯の伸びすぎを防ぐためには大切なことなのです。チンチラは前歯で牧草をかみ切り、奥歯で咀嚼します。この時、牧草を咀嚼することで奥歯はすり減ります。奥歯は咀嚼する時しか使われないので、牧草を食べないとどんどん伸びて不正咬合を起こしてしまうのです。
では牧草をあげる時、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。チンチラは牧草に対応力があり、どんな種類の牧草でも食べられます。しかし、同じ種類の牧草を与え続けると飽きやすく、それ自体を好まなくなることがあり、時々牧草の種類を変えてあげる必要があります。同じ種類の牧草でも、産地や収穫時期の違いで味が変わってくるので覚えておきましょう。
また、牧草は一度に食べきれる量を与えることが好ましいです。自分で踏んでしまったり、おしっこがかかると食べないので、それぞれに適切な量を与えましょう。目安は一か月に1キロほどです。エサの牧草は5種類ほどありますが、中でもおすすめの牧草は、「チモシー」という種類です。
チモシーは茎が硬く、繊維質が高くてたんぱく質が低い品種です。小動物用として多く流通しており、入手しやすい反面、年間を通して質が一定ではありません。そのため、最低限の栄養を保障するためにペレットを少量与える必要があります。ペレットは一日に10~15グラムほどが適切です。
まとめ
今回は、チンチラの歯ぎしりについて解説しました。チンチラは飼育下では10~15年生き、長くて20年生きることができる動物です。めったに病気をしないため不正咬合になってしまった場合は、飼い主さんのケアが足りていなかったことがほとんどです。しっかりとした知識をもって、チンチラを飼ってあげましょう。